韓国旅行へ普段飲んでいる処方薬を持って行きたいものの、「日本でもらった薬ならそのまま持ち込めるのか」「英文の処方箋や診断書は必要なのか」と不安になる人は少なくありません。
一般的な自己治療用の医薬品であれば旅行に必要な範囲で持参できるケースがありますが、日本では通常の処方薬として使われている成分でも、韓国では麻薬類や向精神性医薬品として規制され、事前の承認が必要になる場合があります。
特に睡眠薬、抗不安薬、ADHD治療薬、強い鎮痛薬などを使用している場合は、商品名だけで判断せず有効成分を確認することが重要です。
また、薬を韓国へ入国させるルールと飛行機へ持ち込む手荷物ルールは別なので、液体薬、注射薬、インスリンなどでは空港保安検査への準備も必要です。
ここでは2026年9月時点で確認できる韓国の公的案内をもとに、処方薬の持ち込み可否を判断する流れからMFDSへの申請、英文書類、荷造り、空港で困らないためのポイントまで整理します。
韓国旅行で処方薬を持ち込む前に確認したい7項目
韓国旅行で処方薬を持参する際に最初に確認したいのは、「処方薬かどうか」だけではなく、薬に含まれている有効成分が韓国でどのように規制されているかです。
日本で医師から正規に処方された薬であっても、韓国の法令上で麻薬類や向精神性医薬品に分類される場合は、韓国食品医薬品安全処であるMFDSの承認対象になることがあります。
短期間の旅行だから自動的に問題ないと考えず、以下の項目を順番に確認すると判断しやすくなります。
有効成分
最初に薬の箱、お薬手帳、薬剤情報提供書などを確認し、有効成分の一般名を把握しましょう。
海外での規制は日本の商品名ではなく成分を基準に判断されるため、「いつも飲んでいる○○錠」という商品名だけでは十分ではありません。
同じ目的で使う薬でも成分によって韓国での扱いが異なる可能性があるため、複数の薬を服用している場合は一つずつ確認する必要があります。
規制区分
韓国税関は、海外で購入した市販薬や外国の病院で処方された薬であっても、韓国法上の麻薬類成分が含まれている場合は規制対象になることがあると案内しています。
代表例としてコデイン、モルヒネ、オキシコドン、メチルフェニデート、アルプラゾラム、ゾルピデム、クロナゼパム、ロラゼパムなどが韓国の公的案内で規制成分として挙げられています。
これは一部の例にすぎないため、一覧に自分の薬が見当たらないことだけを理由に持ち込み可能と判断するのは避けましょう。
持参量
韓国税関の自己使用医薬品に関する案内では、一般的な自己使用医薬品について6本または用法上3か月分以内という基準が示されています。
ただし、この基準はすべての処方薬について無条件で持ち込めるという意味ではなく、麻薬類、向精神性医薬品、乱用のおそれがある医薬品などには別の規制が適用されます。
| 確認する薬 | 考え方 |
|---|---|
| 一般的な自己使用薬 | 旅行に必要な量を基本にする |
| 長期処方薬 | 数量基準も確認する |
| 麻薬類 | MFDSの制度を確認する |
| 向精神性医薬品 | 成分単位で確認する |
| 注射薬 | 入国規制と航空保安を確認する |
事前承認
自己治療のために麻薬または向精神性医薬品に該当する薬を韓国へ持ち込む場合、韓国MFDSの承認が必要になるケースがあります。
韓国MFDSでは以前から自己治療目的の麻薬類持ち込み承認制度を運用しており、2024年12月27日からオンライン申請にも対応しています。
旅行直前になって薬が規制対象だと判明すると準備が間に合わない可能性があるため、航空券を予約した段階で薬の確認を始めると余裕を持ちやすくなります。
証明書類
一般的な処方薬であっても、自分が治療目的で使用している薬であることを説明できる書類を準備しておくと、空港や現地で確認された場合に説明しやすくなります。
厚生労働省も海外へ医薬品を持参する際には、どのような薬をどのような病気や症状のために使用しているか説明できる文書を準備することを案内しています。
- 処方箋の写し
- 薬剤情報提供書
- お薬手帳
- 医師の診断書
- 英文の薬剤証明書
- 薬の外箱
- 成分名が分かる資料
すべての旅行者にすべての書類が必須というわけではありませんが、規制対象になり得る薬を服用している場合は英文書類の準備も検討しましょう。
携帯方法
錠剤をピルケースだけに移して大量に持ち歩くより、薬の名称や成分、処方内容を確認できる状態にしておくほうが入国時の説明は容易です。
旅行中に毎日服用する薬は、紛失や預け荷物の遅延に備え、航空会社の規則に反しない範囲で機内持ち込み手荷物に入れておく方法もあります。
ただし、液体薬や注射器などには保安検査上のルールがあるため、医薬品であるという理由だけですべて自由に機内へ持ち込めるわけではありません。
日本側の手続き
韓国への入国条件を満たしていても、日本から特定の医療用麻薬や覚醒剤原料などを持ち出す際には、日本側でも手続きが必要になる場合があります。
向精神薬についても薬の種類、総量、剤形によって書類が必要となるケースがあるため、日本の厚生労働省や地方厚生局のルールも併せて確認しましょう。
- 韓国への持ち込み条件
- 日本からの持ち出し条件
- 日本への再持ち込み条件
- 航空会社の手荷物条件
- 空港の保安検査条件
往路だけでなく帰国時までを一つの旅行として考えて準備することが大切です。
韓国で規制される処方薬はどう見分ける?
韓国旅行の処方薬持ち込みで最も注意したいのが、日本と韓国で薬の規制区分が完全には一致しないことです。
「病院から処方されているから合法」「日本で普通に使われているから大丈夫」という判断ではなく、韓国で規制対象となる有効成分が含まれているかを確認する必要があります。
特に中枢神経に作用する薬、強い鎮痛薬、一部の睡眠薬や抗不安薬、ADHD治療薬などは早めに確認しましょう。
睡眠薬
睡眠薬の中には、韓国で向精神性医薬品として管理される成分があります。
韓国税関の案内では、ゾルピデムなどが規制成分の例として掲載されているため、睡眠薬を持参するときは商品名だけでなく成分名を確認することが重要です。
睡眠薬というカテゴリー全体が一律に持ち込み禁止という意味ではなく、成分ごとに扱いを判断する必要があります。
| 薬のカテゴリー | 確認ポイント |
|---|---|
| 睡眠薬 | 成分名と規制区分 |
| 抗不安薬 | 韓国の向精神薬指定 |
| ADHD治療薬 | 刺激薬成分の有無 |
| 鎮痛薬 | オピオイド成分の有無 |
| 咳止め | コデイン等の成分 |
抗不安薬
抗不安薬や精神科領域で使用される薬の中にも、韓国で規制対象となる成分があります。
韓国税関が公表している例にはアルプラゾラム、クロナゼパム、ブロマゼパム、ロラゼパムなどが含まれています。
- アルプラゾラム
- クロナゼパム
- ブロマゼパム
- ロラゼパム
- クロチアゼパム
- ゾルピデム
薬を急に中断すると体調に影響する場合もあるため、旅行のために自己判断で服用をやめるのではなく、規制を確認したうえで必要な申請について医師や薬剤師にも相談しましょう。
ADHD治療薬
ADHD治療薬ではメチルフェニデートなど、韓国で向精神性医薬品として管理される成分があるため特に注意が必要です。
日本で処方を受けた本人が治療目的で使用する場合であっても、韓国側の手続きが不要になるとは限りません。
旅行予定が決まった時点で成分名、1錠当たりの含有量、1日の服用量、持参する総量を確認しておくと、必要な申請を進めやすくなります。
MFDSへの事前申請が必要な場合はどう準備する?
韓国で麻薬または向精神性医薬品として規制される成分を自己治療目的で持ち込む場合は、韓国食品医薬品安全処であるMFDSの持ち込み承認制度を確認します。
MFDSは国籍を問わず、規制対象となる医薬品を自己治療目的で韓国へ携帯して入国する人を対象とした制度を設けています。
2024年12月27日からオンライン申請が可能になっているため、以前の体験談だけを参考にせず、旅行時点の最新手順をMFDSの案内で確認することが重要です。
申請時期
規制薬を持参する予定があるなら、旅行直前ではなく日程が決まった段階で手続きを確認しましょう。
申請内容の確認や追加書類の提出が必要になる可能性もあるため、「出発前日に手続きすればよい」と考えないほうが安全です。
航空券や宿泊先を確定したら、同時に処方薬の有効成分を確認する流れにすると準備漏れを防ぎやすくなります。
準備書類
MFDSへの申請では、本人、渡航予定、持参する医薬品、治療上の必要性などを確認できる情報を準備することになります。
必要書類や入力項目は制度改正によって変更される可能性があるため、実際の申請時にはオンライン申請画面と最新マニュアルを基準にしてください。
- 本人確認情報
- パスポート情報
- 韓国入国予定日
- 韓国出国予定日
- 医薬品名
- 有効成分名
- 持参数量
- 処方内容
- 治療の必要性を示す書類
病院へ英文書類を依頼する場合は発行まで日数がかかることもあるため、早めに相談しておきましょう。
薬の情報
申請や問い合わせをするときは、日本国内の商品名だけを伝えるより、有効成分の一般名と含有量まで整理しておくことが重要です。
1日の服用回数と韓国滞在中に必要となる総量も把握しておくと、自己治療目的で必要な薬であることを説明しやすくなります。
| 整理する情報 | 記載例 |
|---|---|
| 商品名 | 処方薬の商品名 |
| 一般名 | 有効成分名 |
| 規格 | 1錠当たりの含有量 |
| 服用量 | 1日何錠か |
| 持参数量 | 旅行期間分 |
| 処方目的 | 治療目的 |
薬剤情報提供書に一般名が書かれていない場合は、処方した医療機関または薬局へ確認すると確実です。
処方箋や英文診断書はどこまで準備する?
すべての一般的な処方薬について英文診断書が一律必須というわけではありませんが、海外で薬について説明できる資料を持っておくことには大きなメリットがあります。
厚生労働省も海外渡航時には、服用している医薬品や治療している病気・症状を説明できる文書を準備することを勧めています。
特に規制薬、注射薬、大量の薬、薬の外見だけでは内容が分かりにくい場合は、説明資料を充実させておきましょう。
処方箋
処方箋の写しは、その薬が医師から本人へ処方されたことを示す基本的な資料になります。
ただし、日本語だけでは韓国の税関や医療機関で内容が伝わりにくい場合があるため、規制対象薬では英文の証明書類について医師へ相談するのが安心です。
処方箋を持っているから韓国側の事前承認が不要になるわけではない点にも注意しましょう。
英文診断書
英文診断書や英文薬剤証明書には、患者本人の氏名、病状や治療目的、医薬品名、有効成分名、用量などが記載されていると説明しやすくなります。
旅行の数日前に病院へ依頼しても間に合わないことがあるため、必要になりそうな場合は診察時に早めに相談しましょう。
| 記載項目 | 役割 |
|---|---|
| 患者氏名 | 本人の薬と確認 |
| 病名・症状 | 治療目的を説明 |
| 薬品名 | 処方内容を確認 |
| 有効成分 | 規制区分を確認 |
| 用量 | 必要数量を説明 |
| 医師情報 | 処方元を確認 |
薬の包装
薬を旅行用ケースへ移し替える場合でも、元の包装や薬剤情報をすべて処分してしまうのは避けたほうが無難です。
税関などで薬の内容を確認された場合に、PTPシートやラベル、薬袋などが残っていれば商品名や用量を確認しやすくなります。
- 薬袋を残す
- PTPシートを残す
- 処方ラベルを残す
- 薬剤情報を保存する
- 英文書類を別に保管する
スマートフォンに資料を保存しておくだけでなく、通信できない状況でも提示できるよう紙の資料も用意しておくと使いやすいでしょう。
飛行機では処方薬をどう持ち運ぶ?
韓国への入国規制をクリアしていても、空港の保安検査や航空会社の手荷物規則は別に考える必要があります。
特に液体薬、インスリン、注射器、針、保冷剤などを使用している場合は、一般的な錠剤だけを持参する旅行者より準備する項目が増えます。
帰国時には仁川国際空港など韓国側の保安検査を受けるため、韓国出国時のルールも把握しておきましょう。
機内持ち込み
毎日服用する錠剤などは、航空会社の規則を確認したうえで機内持ち込み手荷物に入れておくと、預け荷物の遅延や紛失時にも服用を続けやすくなります。
一方で薬だけを大量に別容器へ入れるより、本人に処方された薬だと説明できる状態を維持することが重要です。
- 旅行中に必要な薬
- 処方情報
- 英文証明書
- MFDSの承認資料
- 薬剤情報提供書
- 緊急時の予備薬
保安検査で説明を求められる可能性を考え、証明書類と医薬品をすぐ取り出せる場所にまとめておくとスムーズです。
液体薬
国際線では液体物の機内持ち込みに制限があり、一般的には100ml以下の容器を1L以下の透明なジッパー付き袋へまとめるルールがあります。
仁川国際空港では、100mlを超えるインスリンなどの液体医薬品を機内へ持ち込む場合、韓国語または英語の医師の診断書や処方箋を用意するよう案内しています。
医療上必要な液体であっても自由に大量持ち込みできるとは限らないため、日本出発時については利用する空港や航空会社にも確認しておきましょう。
注射器
仁川国際空港では注射器や針などの医療用品について、機内持ち込みまたは預け手荷物として取り扱える旨が案内されていますが、医薬品の種類や航空会社の規定も関係します。
特にインスリンなど温度管理が必要な薬では、薬そのものに加えて保冷方法を考える必要があります。
| 物品 | 準備のポイント |
|---|---|
| 錠剤 | 処方内容が分かる状態 |
| 液体薬 | 容量と保安ルールを確認 |
| 注射器 | 航空会社にも確認 |
| インスリン | 英文書類を準備 |
| 保冷剤 | 液体物規制を確認 |
| 予備薬 | 必要量に抑える |
機内持ち込み可否と韓国国内への輸入可否は別の制度なので、どちらか一方だけを確認して安心しないようにしましょう。
韓国旅行で薬に困らないための準備をして出発しよう
韓国旅行で処方薬を持ち込む場合は、まず薬の商品名ではなく有効成分を確認し、韓国で麻薬や向精神性医薬品として規制されていないかを調べることが最優先です。
一般的な自己治療用医薬品は旅行に必要な範囲で持参できるケースがありますが、規制対象成分を含む薬にはMFDSの事前承認が必要になる場合があるため、処方薬なら無条件で持ち込めるわけではありません。
特にゾルピデム、アルプラゾラム、クロナゼパム、ロラゼパム、メチルフェニデート、コデイン、オキシコドンなどを含む薬を使用している場合は、最新の韓国側規制を個別に確認しましょう。
また、処方箋の写し、お薬手帳、薬剤情報提供書、必要に応じた英文診断書などを用意し、薬は名称や成分が確認できる包装で持参すると空港で説明しやすくなります。
液体薬、インスリン、注射器などは入国規制だけでなく航空保安上のルールもあるため、韓国側の制度、日本側の持ち出し制度、利用航空会社の規定をそれぞれ確認しておくことが大切です。
薬は体調を維持して韓国旅行を楽しむために必要なものなので、自己判断で服用を中断したり別の薬へ変更したりせず、必要な場合は処方した医師や薬剤師へ相談しながら余裕を持って準備しましょう。
